そのマンションは所謂セレブマンションでも高級マンションでもないが、私にとっては完璧なものだった。
駅から近くて周囲に店も多い。買い物も便利だし公園も近い。
利便性を重要視する私がいかにも好みそうな立地条件で、彼が「はるかちゃんのことだからキャーキャー言って喜ぶと思う」と言ったのもなるほど納得だ。
彼はここを私のために売ろうとしていたんだ…
風俗嬢のためにそこまでするなんて無謀で純粋でホントにバカ。
間取りはファミリー向け、二人暮らしには贅沢で広すぎる。
ベランダからの眺めは良く、夜は夜景が綺麗だろうと思った。
「ユウくんはいいけど、私はなんか身の丈に合ってない気がする。」「なんで?あんだけ稼ぐ人がよく言うよ(笑)」あー、そっか…。確かにそうよね。
借金の返済もなく風俗で働いていたとしたらこれぐらいのマンション買うのは簡単なこと。それを考えると複雑な気分だ。
「花火大会も今年はここ(リビング)から見られるよ!」「それもすごいね。」「だろ?だから買ったんだよ。」彼はとても楽しそうだ。
何もないガランとした部屋の中で「ここにソファを置こう」とか「大きいテレビを買っちゃおうか」とかいろいろ話していた。
そんな彼の笑顔を見ているうちに、私の中に嫉妬心が芽生えた。
『私はあんなに苦しんであんなに稼いだのに何も残っていない』
その後。
私は忙しく働きながらも相変わらず時間をみつけては彼の実家に顔を出し、休日は彼と二人でインテリアショップを見て回ったり、新居にカーテンを付けに行ったり、引っ越しに向けて準備を進めた。
彼のマンション、知らない土地、リビングから見る花火…
引っ越しのことを考えるとワクワクするし、彼には心から感謝している。
それなのに、私の中の拭いきれない嫉妬心は日に日に強くなっていった。
-146へ続く-
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いいな~キッチンセット当たるといいですね!
うどん屋さんのサイト見てみたんですけど、東京は持ち帰りだけっぽいです。ネットでも買えますが、美味しいものはやっぱりお店で食べたいです♪
風俗って初めての場合は一人だと行きにくいものでしょうか?自分が女だからか、そういうときの男性の心境が全然わからないのですが…。
後輩さん達がたくましく成長されて何よりですね(^ ^)
メッセージの返信をくれる女のコ優先なのは良いことだと思います。そもそも返信をしない女のコは仕事を放棄しているということですからねぇ。
もう、私に「痛いですってば!」って言わせないで下さいよ~(笑)
それに私はどうしても女性目線か風俗嬢目線で考えてしまうので、彼女の話はちょっと辛いです(>_<)