こんな場所で抱き合っていたら彼のことをもっと求めてしまいそう。
彼とそうなりたい気持ちはあるけれど、アザだらけの酷い体を見られるのは嫌だと思った。
「シャワー浴びてくる。」私はとりあえず流れを遮りたかったのと、実際彼氏にあちこち触られたままの体は気持ち悪かったので、早くシャワーを浴びたいと思った。
でも、バスルームに入ってからちょっと考えた。
あのタイミングで「シャワー浴びてくる」という発言は、むしろその後のことを期待して私から誘っていると思われたかもしれない。
何か激しく間違えた気もするが、まぁいいか。
私はシャワーを浴びながら自分の体を観察した。
擦り傷、引っ掻かれた痕、赤い腫れ、青あざなどがあちこちにあった。
ほぼ全身だが、特に腕と腿は酷い。
玄関で取っ組み合いになって、廊下を引きずられ、ベッドの上でも変な体勢で無茶苦茶されて、当然と言えば当然だ。
しばらくは仕事には行けない。
あーあ。
でもあのとき逃げなかったら絶対に中に出されてたよな。刺されたわけでもないし、こんなんで済んでよかったのかもしれない。
全身をよく洗い、長めにシャワーを浴びて体を拭いた。
体にバスタオルを巻き付けるとバスタブの縁に腰掛けて、彼が買ってくれた水色のワンピースを眺めた。
『可愛いなぁ…』
こんな可愛い服を選んでもらえるなんて、自分がとっても女の子扱いされている気がして嬉しかった。
「はるかちゃん、出たの?」彼がドア越しに話しかけてきた。
「うん。」「服着なくていいよ。」……え?
-76へ続く-
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