港の見える丘公園を出た後は中華街へ行った。
少し歩いて雑貨屋さんを見て回り、彼おすすめの中華料理店で食事をした。
彼との食事は楽しかったが、車に戻ると帰る時間が近づいていることを感じて寂しくなってきた。
「はるかちゃん、今日何時まで大丈夫?」「何時でも大丈夫。」「何時でもいい、ってことはないだろ(笑)」「だって帰りたくないもん。」「そういうこと軽々しく言うなよ。」だって本当に帰りたくない。
このままずっと一緒にいたい。
『どうするんだろう、もう帰るのかな?』
今まですべて彼任せだったが初めて行き先に不安を感じた。
彼は青色ライトのベイブリッジを渡ると大黒ふ頭で車を止めた。
大黒ふ頭は港の見える丘公園と違ってロマンチックな場所とは言い難いが、海を間近に感じられて、私はここから見る海も夜景も大好きだ。
「ちょっと歩ける?」「うん。」歩きながら、会話は殆どしていない。
私は、彼と今一緒にいられる嬉しさと、もうすぐお別れしなくちゃいけないという寂しさが混ざって複雑な気持ちだった。
しばらく歩いた後、彼が「ちょっと座ろう」と言って大きな石段のような所に座った。私は彼の隣に座り、二人で無言のまま暗い海を眺めていた。
私が右手をちょっと動かしたときに偶然彼の左手の小指に触れて一瞬ドキッとしたが、そのまま彼の小指の上に自分の指先を重ねて置いた。
『これって自分から誘ってる?』そう思ったが、私はたとえほんの少しでも彼と触れ合っていたかった。
-42へ続く-
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ご自分が興味なくても応募して当たったら後輩さんにあげてしまうなんて、周りの後輩さん達は幸せ者ですね(^ ^)
丁寧で詳細なレポートを書く方は、やはりサイト側としてもありがたい存在なのではないでしょうか。
今度は○○人様にとって嬉しい“事件”が起こるといいですネ♪