「少し水飲める?」彼は買って来たミネラルウォーターのキャップを外して私に差し出した。
「持てる?」「うん。」水を一口だけ飲んでペットボトルを彼に返した。
爽やかとまではいかないが、少しだけ気分が良くなった。
彼は私の座席の背もたれを少し倒し、後ろの座席に置いてあった自分のジャケットを取って私の膝の上に掛けた。
「眠った方がいいよ。」「ありがとう。」私は眠くなかったが目をつむった。頭の中を空っぽにしてリラックスしたかった。
しばらくすると私の肩に彼の手が触れた。
「はるかちゃん、車動かしても大丈夫?」「うん。」「もしちょっとでも具合が悪くなったらすぐ言って。」『彼は優しいな、こんな人に想われて私は幸せ者だな…』目をつむったままそんなことを思っていたが、いつのまにかそのまま眠ってしまった。
「はるかちゃん。」「ん?ごめん、寝ちゃった。」「大丈夫?もう横浜だけどこのまま帰る?どっか行きたい所ある?」「うーん…ハマスタよりこっち側がいい。」「うん、わかった。」帰りたくなんかない。かと言って、横浜は大好きだけど今は人混みには行きたくない。
車を降りて、港の見える丘公園に行った。
港の見える丘公園はおもいっきり定番デートスポットだが、場所によっては人がいないのでゆっくりと過ごせる。
『今こうして彼の隣にいられることが嬉しい』
横浜の夜景を眺めていると心が癒された。
-40へ続く-
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