彼は人通りのない路地に入り、車を止めてエンジンを切った。
「ねぇ何考えてる?一緒にいるのが辛い?」気付けばもう1時間以上、私はずっと黙り込んだままだった。
「ごめん、ちょっと飲み物買ってくる。」彼はそう言って車を降り、どこかへ歩いていった。
ここはどこかの公園の裏だろうか。
柵の向こうには大きな木々が並び、緑色の葉がさわさわと風に揺られている。
私の胸は熱くなっていた。
今まで好意的なことなんてひとつも言わなかった彼の「好き」という言葉はとても重く、今も胸の奥に響いている。
「好きだよ。」って言われてとっても嬉しかったな。
もし私が想いを伝えたら、私達はどうなるの?
想い合えば想い合うほどどんどん不幸になるに決まってる。
彼は普通の女の子を好きになった方がいいに決まってる。
「好き」って言っちゃいけない。
「好き」って言いたい。大好きだけど、大好きだから、傷つけたくない、苦しめたくない。
心臓がバクバクする。
『やばい!』
私は痺れる指先を折り曲げながら、なんとか両手で形を作って鼻と口を覆った。
過換気の発作だ。
『なんでこんなときに!どうしよう…。』
-38へ続く-
- 関連記事
-
私はもうすっかり元気です!
わかめも食べましたしヨーグルトも食べましたので完璧です。
東京も自然災害に慣れていないせいか、ちょっとしたことでも皆すぐにパニックになりますよ。電車も普段からすぐ止まっちゃうし(笑)
地方出身の友達には「情けない」ってよく笑われます。
後輩さんからのご報告があり次第、サイトチェックいたします。
いろいろと幅が広がって、忙しく楽しい日々です。
いつもありがとうございます。