レストランを出てからは結構な距離を走ったと思う。
海。
海が見えた。
例によって場所はわからないが神奈川県のどこかなのは確かだ。
「海だー♪」「お待たせ。」車を止めて砂浜を歩いた。
「最高!気持ちいい!」彼のことそっちのけで水をすくったり蹴ったりして遊んだ。
水平線をボーっと眺めて、しばらくするとまた水で遊んだ。
ふと気付くと彼がいない。
辺りを見回すと、彼は遠く離れた石段に座ってこっちを見ている。
私は走って彼の元へ行き、肩を並べて座った。
「何?子供じみてて付き合ってられないから距離を置いた?」「そうじゃないよ(笑)」それからしばらく黙って海を眺めていた。
ときどき彼の横顔をチラッと見ると、彼は真っすぐに海をみつめている。
夕方の海はロマンチック、でもそれ以上にどことなく寂しい。
「はるかちゃん。」「ん?」私は彼の方を向いた。
彼は海をみつめたまま言った。
「はるかちゃん、好きだよ。」突然のことで心臓が止まりそうになった。
-36へ続く-
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