「ずっと前から好きだった。でもあの部屋で気持ちを伝えるのは嫌だったから、どうしても外で会いたかった。」そうだったんだ…。
「そのためにかなり強引なこともしたし意地悪もしたけど。ごめんね。」
私はなんて言えばいいんだろう…
何も言えないまま、砂浜をじっとみつめていた。
「よし、車に戻ろう。」彼は立ち上がるとちょっとだけ微笑んで手を差し伸べてくれた。私は彼の手に手を置いて立ち上がり、そのまま手をつないで車まで歩いた。
こうやって手をつないで歩く、そんな些細なことに幸せを感じた。
『彼のことが好き。でも言えない。』風俗嬢という事実が私にブレーキをかけて胸を締め付けた。
彼は無言で車を走らせた。
私は窓の外の景色を見ながらいろいろなことを考えていた。
彼が私をどんな風に見てくれても、私が風俗嬢という現実に変わりない。
これ以上深く関わったらこの先彼を苦しめることになるだろう。
彼のこと嫌いになれたら楽なのに。
いっそ嫌われてしまえば楽なのに。
今隣にいる彼への気持ちを断ち切るために、彼氏の笑顔、彼氏との生活、彼氏との楽しいことをいっぱい思い出そうとした。
でも、できなかった。
自分でももうハッキリとわかっている。
彼に対するこの気持ちは、浮気でもなく妄想でもなく勘違いでもない。
間違いなく、これは恋。
『私は本気で彼のことが好き』-37へ続く-
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こちらこそ、どうもありがとうございます(^ ^)
私もそういう男性が好きです。
また、当然女性もそうあるべきと思います。
私の周囲は意外とやんちゃな女の子が多いので、最近は特にそう思います。