「いろいろ考えさせてごめん。違うんだよ。」彼は私を自分の方に抱き寄せた。
「今夜はいろいろあったし、昨日も寝てないだろ?」「なんで寝てないって思ったの?」「だって別れ話した後にぐっすり眠れたとは思えないよ。」「……そっか。」「だから今日はゆっくり休んで欲しいと思ったんだよ。ただそれだけ。」彼に抱きしめられて彼の体温を感じるとなんだか安心する。
「私はただユウくんとくっついて寝たかったの。」「それは嬉しいけどね、そうすると俺はさぁ、」「もう寝ようよ。おやすみ。」目をつむると彼の鼓動を感じる。
私は心地良くなり、だんだん眠くなってきた。
「マジかよ。」「もう眠いの。」「じゃあチューだけ。」おやすみのキスにしては随分濃厚で長いキスだったが、私達はこの夜それ以上のことは何もせずに眠った。
朝はそのままホテルで、そこそこ美味いがめちゃめちゃ高い朝食をとりチェックアウトした。
それから私は店に『ケガをしたので当分休む』という主旨の電話を入れた。
午前中は池袋に行ってサンシャインの水族館と展望台でまったり過ごし、午後は原宿へ移動してカフェで軽めの昼食をとった。
カフェを出た後はインテリア雑貨のお店を見て回り、私の新居に置くかわいい歯ブラシスタンドを(彼が)買い、古着屋では彼のジーパンを買った。
「なぁ、はるかちゃん、うちに来ない?」「えっ、いいの?」「いいよ。ってゆーか、いいの?」「うん。行きたい。」初めて彼の家に行く。
それはそれはドキドキだった。
-83へ続く-
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