部屋に入るとすぐに自分の携帯電話に大仏ストラップを付けた。
彼が恋しくてたまらず、涙が込み上げてきた。
『ユウくん…』
せめて一度だけでも名前で呼びたかった。
仕事の準備をしていると、部屋の中のあちこちに彼の面影を感じた。
ベッドを見ればあぐらをかいて座っている彼を思い出し、
ハンガーにはさっきまでそこに彼のジャケットが掛かっていたような気がする。
何もないはずのチェストの上には彼の腕時計とサングラスが置いてあるようで、ドアを見ていると今にも彼が笑顔で入って来そうな気さえする。
『気が狂いそう!』こんな場所なのに、悲しいことに、ここには彼との思い出がいっぱいいっぱい詰まっている。
接客は頑張ったが、気持ちの切り替えができずに常に彼のことが頭にあった。
接客と接客の合間に何度も嘔吐し、その間、私の代わりにスタッフがセッティングを行った。
病み上がりということもあったのかもしれないが、それ以上に精神が参ってる。
店長は「後の予約は全部キャンセルしてもいい」とまで言ってくれたが、店長にそんなことを言わせてしまう自分が情けなかった。
今日私が接客するお客様は皆、何日も前にご予約下さった“はるかじゃなきゃダメ”なお客様。キャンセルも、他の女のコをおすすめするのも失礼極まりない。
私にとって苦しい一日だったが、なんとか最後まで仕事をやり遂げた。
私には滅多にないことだが、ぐったりと疲れていたのでその日はタクシーで帰ることにした。
今日一日で、風俗嬢がお客様を好きになるというのは自分が想像していた以上に辛いものだと痛感した。
店で自分があんな風になってしまうなんて誤算だったが、でもよく考えればそれは当然のことだった。
彼との思い出、彼の面影を感じるあの場所で、他の男性とどうこうなんて出来るわけがない。それが仕事だとしても。
『こんな思いをするのはそれほど本気で好きって証拠だな』
私を乗せたタクシーが、この前彼と待ち合わせした裏通りに入った。
あのときと同じ場所に、彼の車と同じ色の車が止まっていた。
あーあ、切ないなぁ。
……えっ!?
「すみません、その辺りで止めて下さい。」私は慌ててタクシーを降りた。
-49へ続く-
- 関連記事
-
風俗嬢は一見普通に見えても実際は本当にヤバいコが多いので気をつけて下さいね。
今回、メアドは変えて正解だったと思いますよ。
風俗嬢が在籍だけしていて全然出勤しないのはよくあることです。
バックレた女のコの画像や写真を店側が放置しておくのもよくあることなので、同じ女のコがいろいろな店で名前を変えて掲載されていることも珍しくありません。
もしも同じような画像が使われている場合は、ちょっと悪質なグループによる店の宣伝ですね。
でも、普通の店は、きちんとした形で辞めた女のコの画像や写真は速やかに削除します。