車までほんの数分の距離、話しながら歩いた。
「会えてよかったよ。見過ごしちゃったかと思った。」「てゆーか、あんなとこで待ってるなんてストーカーみたいよ。」「だって木曜まで休みで今日の予約はいっぱいって言うし。」彼が店に電話していたなんて予想外だった。
彼の車に乗るとこの前のデートの記憶がよみがえって少し緊張した。
「彼氏がいること黙っててごめんなさい。」「あーいいよ。全然気にしてないから。」「えっ、そうなの?……遊び、ってこと?」「じゃなくて、彼氏がいようが俺の気持ちは変わらないっていう意味だよ。」うーん…気にならない?
私が逆の立場だったら騙されたと思っちゃうし、めちゃめちゃ嫌だけどな。
「はるかちゃん。重い話をしていい?」「ん?」「俺このままじゃ諦められないよ。」「…うん。」「はるかちゃんは俺のことどう思ってる?」私は迷わなかった。
彼に“好き”って言いたくて仕方がなかった。
好きな人に『好きじゃない』なんて言いたくないし、彼にだけは嘘をつきたくない。自分の本当の気持ちを正直に伝えたい。
「追い詰める気はないんだけど、気持ちを聞かないと納得できないから。」「ユウくん。」「えっ?」「私も好き。」彼は私が初めて彼の名前を呼んだことと「好き」って言ったこと、両方に驚いているようだった。
嬉しいような戸惑っているような微妙な表情をしていた。
-51へ続く-
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こんなふうに正直になるのにあまりにも時間が掛かりすぎましたが、確かに私にとって大きな一歩だったと思います。
このブログの存在が少しでもお役に立てればとても嬉しいですが、私の方こそ励まされ、おかげさまで前向きに頑張れる日々です。
いつもありがとうございます。