自分では全身を動かしてバタバタと抵抗しているつもりだったが彼氏の力には全く勝てず、それどころか彼の力はどんどん強くなっているように感じた。
『殺されるかも…。』
一瞬、そんな恐怖がよぎった。
私はあえて抵抗するのをやめて全身の力を抜いてみた。
すると彼氏は私の顔を叩くのをやめ、荒々しく胸を掴んだりスカートの中に手を入れてきたりした。
しばらくすると彼氏は私のパンツを下ろし、自分のズボンのベルトを外してファスナーを下ろした。
そのとき、私は彼氏の急所を思いっきり蹴飛ばしてベッドから蹴り落とし、灰皿の乗ったサイドテーブルを投げつけ、スタンドライトをなぎ倒して部屋を飛び出した。
廊下に落ちていたバッグとカーディガンを拾いながら、走って玄関を飛び出ると、そのまま非常階段に出て無我夢中で階段を駆け下りた。
下に着いてエレベーターの表示を見ると、エレベーターは上に向かって移動している最中だった。それは彼氏が呼んだものか他の住人が呼んだものかはわからないが、とにかく逃げなくちゃと思った。
少しだけ走り、ビルとビルの間に入って身を潜めた。
体が熱くなっているのが自分でもわかる。
そのまましばらく呆然としていたが、ふと我に返った。
『やばい!』彼との約束の時間はとっくに過ぎていたので携帯電話をチェックしたが、彼からは着信もメールもなかった。
私はこのとき自分がパンツをはいていないことと、裸足であることに気が付いた。
『あーあ、何やってんだろう』ブラジャーのホックを留めて、ブラウスの破れた箇所を確認した。
ブラウスはワキの下の縫い合わせが破れ、前ボタンは殆ど引きちぎられ、かろうじて残ったボタンも周りの生地が破れてぶら下がっている状態だった。
持っていたカーディガンとバッグを抱え込み、胸元を隠した。
『どうしよう…家にも帰れないしどこにも行けない。』こんな格好じゃ服や靴を買うどころか、道を歩くことも出来ない。
かと言ってずっとここにいるわけにもいかないし、誰かに見つかったら警察に通報される。
親友に電話をしようとも思ったが、彼女は今頃デート中のはずなので呼び出すのは気が引けた。
私は策が浮かばずそのまま途方に暮れていた。
-67へ続く-
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自分の感覚は今も昔も変わらないような気がします。
ジャニーズに走っているというわけでもなく月に2~3回テレビで観る程度で、異性としてというよりもエンターテイメントショーを楽しんでいる感じですね。
好きなのは見た目も中身も自分より大人の男性です。
14時頃は忙しいのでチェックできるかわかりませんが、楽しみですね。