15分か20分ぐらい走ると一軒のブティックの前で車が止まった。
彼は車を降りると助手席のドアを開け「おいで」と言って私を抱きかかえるように車から降ろした。
そのブティックの中は電気は点いていたが、看板は消灯し、ドアには“CLOSE”の札が掛かっている。
「事情は話してあるから。何も心配ないからね。」彼がそう言ってドアを開けると、奥から30代後半ぐらいの綺麗な女性が出てきた。
「はるかちゃん?はじめまして。」私は黙って会釈した。
「姉貴だよ。」えっ?お姉さん?
彼のお姉さんに初めて会うというのに私はこんな格好なの!?最悪だ。
「俺はこっちにいるから。」彼がそう言うと、お姉さんは私を奥へと案内した。
「警察に行きましょうか。」「いいえ、行きません。」お姉さんは私を椅子に座らせると蒸しタオルを作り、しゃがみ込んで私の足を拭こうとした。
「そんな!いいです、ごめんなさい、自分でやります。」「あらそうね、くすぐったいわよね。しっかり拭いた方がいいわよ。」そう言うと私に蒸しタオルを手渡してくれた。
「病院に行くなら私が付き添うから心配しないでね。」「いえ、大したケガもないですし大丈夫です。」「やられたのは顔だけ?あとこの辺のアザ?」「はい。それだけなので。」「それとね…こういう場合は…、うーん…」「妊娠の可能性はないです。」「そう。裂傷もない?」「はい。何もされていないので。」「わかったわ。じゃあ、顔を冷やしましょう。」そう言って今度は冷蔵庫からおしぼりを出してきて私の頬に当てた。
お姉さんに優しくされて、また涙が出てきた。
-70へ続く-
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記事の内容はショックだとしても、程度の差はあれ実際には多くの女子が経験していることですし、誰にでも可能性があることですから。
でも○×○○は私にとって非現実的で、なんかもうその世界観自体が恐ろしいです。
あれ?最近は東京もパネル見学有料が主流なんですか?
私はパネル見学無料しか知らなかったので、それが当たり前だと思い込んでいました(^ ^;)