午前0時少し前に彼が来た。
私は玄関のドアを10cmぐらいだけ開けて彼と話した。
「なんすかー?こんな時間に。」「遅くなってごめんね。ちょっと出られる?」「無理。もう寝てたし。」
彼はドアを開けて玄関に入ってきた。
「大丈夫?何かあったの?」「いやいや、なんもないっすよー。」「とりあえず、そのふざけたしゃべり方やめろ。」なんでこんなに苛ついているのだろう。
寂しいのは私だけ?逢いたかったのは私だけ?
彼の顔を見ても嬉しくない。
ただ怒らせたい、凹ませたい、困らせたい。
「上がってもいい?」「どうぞ。お宅と違って狭いけどね。」情けないのと申し訳ないような気持ちはあった。
私の家はLDKにおまけのような部屋がくっ付いた小さな1LDKだ。
一人暮らしの女の子の部屋としては悪くないと思うが、彼のドドーンと広いリビングの2LDKのマンションと比べてしまうと生活レベルの違いを感じる。
「ねえ。ユウくんてさ、金持ちなの?」「そうでもないよ。なんだよいきなり。」“そうでもない”ってなんなのよ。
普通は「そんなことない」って言うんじゃないの?
「適当に座ってよ。何飲む?」「酒ならなんでもいい。」「車でしょ?」「当分帰んないから。」「なんで?すぐ帰るって言ってたじゃん。」「気が変わった。」「あっそ。PARAISOとZIMAしかないよ。」「なんでもいいよ。」私自身もまだこの家に馴染んでいないというのに、彼がフツーにそこに座って絵になっているのが図々しく思えた。
会話も気持ちも噛み合わない。
妙な空気。
-95へ続く-
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彼は男らしいと感じる部分もありますが、そんなに良いところばかりでもなく…。
彼の女々しい部分を表現することが私の今後の課題ですね(笑)
私は自分の恋にも余裕がなく不器用なので、ご相談頂いても気のきいたアドバイスなどできませんが、それでもよければ。一人で悩むより二人で悩んだ方が解決の糸口が見つかるかもですネ。