当時の私は風俗嬢として既にとんでもない数の男性の相手をしてきた経験があった。
会社社長、医者、弁護士、芸能人、スポーツ選手、著名人、危ない人、金持ちやらエリートやらイケメンやら超テクニシャンやら…
風俗嬢はいろいろな人と出会う。
でも私はお客様と店の外で意図的に会ったことは一度もない。誰一人として連絡先を教えたこともないし、私から連絡をしたこともない。そういうことは、私が在籍したことがあるすべての店で禁止されていたし、何より自分にとってリスクしかないことなんてするはずない。
風俗嬢をやっている時点で彼氏のことは大いに裏切っているけれど、お客様を好きになったり誘いに乗ったりなどありえない。
それなのに。
彼が帰った後、私は次のお客様を迎え入れるためにシーツを直したりバスタオルを用意したりゴミを捨てに行ったり、忙しくバタバタと準備をしながらも、頭の中では彼のことを考えていた。
気持ちの切り替えができないなんて初めてだった。
『さっきのあれはなんだったんだろう』お客様から誘われるのには慣れている。断るのにも慣れている。
それなのに、今回に限ってなんだかすごく後味が悪い。
その日、私は帰宅途中の電車の中でも、彼からの誘いを断った後味の悪さを引きずっていた。
軽いノリで誘ったわけじゃないのはわかっている。
かと言って、彼に限っては私に気があるとも思えない。
宗教の勧誘か、怪しいビジネスの勧誘か。
いやいや、そういう人とも思えない。
どうにも解せなくて不快な気分だった。
-11へ続く-
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どうもありがとうございます。
ご紹介して下さったブログ、拝見いたしました。
とても楽しかったです!
なんと言いますか、自分が風俗嬢であることを忘れて男性目線で(男性になったような気分で)楽しめました。
風俗系のサイトやブログなどはいろいろありますが、私としては参考になる情報を求めているわけではなくて、楽しいとか面白いとか、自分自身のちょっとした気分転換になればいいかなって思っています。
参考になるとかならないとかは全然関係ないので気を遣わないで下さいね。
ああいうブログを自分から見ることは殆どないので、楽しいブログを教えて頂いたことに感謝しています。
いつもありがとうございます。