「うん、知ってる。気付いてたの?」「なんとなくね。奴の話したときはるかちゃんの表情が一瞬曇ったような気がしたから。」「そっかー。気付いてたか。」「いや、もしやと思ったけど、まさかとも思ったよ。」今更もう伊藤くんのことなんてどうでもいいんだけど、上手くごまかしたつもりが実はバレバレだったというのがショックだった。
「奴とは違うチームだけど仲良くてね、よく一緒に飲むんだよ。」「えっ、そうなの?」「でもはるかちゃんのこと話してないし、奴のチームは今日来ないから何も心配することないよ。」「うん。ありがとう。」お客様に秘密を握られるのは怖いことだけど、こんなふうに仲良くなってしまったら今更もうそれは関係ない。
だって風俗嬢と仲良しだなんて、彼にとっては恥ずかしいことだもん。私のことを誰かに話せるはずがない。
それよりも、彼と伊藤くんが“仲良し”なのが気になった。
「はるかちゃんは奴とどういう知り合い?」なんて言うか…。
伊藤くんは私にとって、ちょっと距離を置きたい人だ。
「もしかして付き合ってた?」「付き合ってないよ、友達。」「ふーん。」「でも最近は全然連絡取ってないよ。」「そっか。わかった。」彼はそう言ったものの、なんだか腑に落ちないという表情をしている。
なんとなく嫌な空気だ。
「じゃあさ、今度奴にはるかちゃんのこと紹介していい?」「いいよ。」「“俺の彼女”って。そう言っても平気なわけ?」「うん、平気よ。」なんか感じ悪いな。
おもいっきり疑われているみたい。
-56へ続く-
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いえいえ、マイペースでやっています。
マイペースが最近は早くなっただけで(笑)
恋愛話の記事の更新はもっとペースを上げたいぐらいですよ(^ ^)
私はタクシー事情に詳しくないのでビックリしました。
そうなるともしかして「お釣りは結構ですよ」って言う人は、最近は少ないんでしょうか…。
オタクの街も秋葉原しか知らなかったです。
ブックマークや画面メモは風俗関係のことには一切使っていないので大変なことにはなっていませんよ。そういうものを見るときは、面倒ですが検索して飛んでいってるので問題ないです。