車が試合会場に着いた。
「俺はずっと離れちゃうけど携帯にメールするから。」「うん。」「帰りも一緒に帰るから、終わっても先に帰らないで待っててね。」「うん、ありがとう。」
観客席にはほんの数人しか人が座っていなかった。
まだ関係者ばかりなのか、忙しそうに歩いている人がいたり、立ち話をしている人はいたりしたが、“応援に来た”という雰囲気の人はいなくて全体はガランとして静かだ。
「はるかちゃん、この辺に座ってちょっと待ってて。」しばらくすると、彼は一人の女性を連れて来た。
「こちら中村さん。彼女が付いててくれるからね。」「高橋です。お世話になります。よろしくお願いします。」「中村です。こちらこそよろしくお願いします。」「俺の彼女だから、いじめるなよ。」「もう、そんなこと言ってー(笑)」「じゃあね、はるかちゃん、後でね。」「うん。頑張ってね。」「おう。」彼から突然一人の女性を紹介されて私はちょっとだけ驚いたが、中村さんは明るくて気さくで感じの良い人だった。
中村さんの彼氏が彼と同じチームなので、いつも応援に来ているそうだ。
中村さんは試合が始まるまでの間、施設内を歩きながら案内していろいろ教えてくれた。
会場はだんだんと人が増え始め、いつのまにかにぎやかで明るい雰囲気になって“いよいよ”という感じがしてきた。
飲み物を買って席に戻ると、彼からメールが来た。
『頑張るよ』たった一言だけど、とっても嬉しかった。
試合が始まると、中村さんはときどき大声で応援しながらも、私には細かいルールの説明やチームの人のことなどを話してくれた。
彼が「寂しい想いはさせないから」って言ったのは本当だった。
一生懸命に頑張っている彼は凄くかっこよかった。
初めて見る彼の姿にドキドキしながら、私は彼に釘付けになっていた。
-57へ続く-
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でも風俗嬢はそういう意味ではやりたい放題なので、一般的な社会人の大変さは他人事に思えます。
風俗は社会の一部であっても風俗嬢は社会人とは言い難いですからね。
○○○ー○○○○は私も興味ありますが、風俗嬢にとっては一番恐ろしい所かな(笑)