それからしばらくの間、殆ど毎日テレフォンレディの仕事をしながら本業となる新たな仕事を探し続けた。
彼とは毎日連絡を取り合い、夜だけ食事に出掛けたり一日中デートをしたり、時々お互いの家に泊まったり、普通の恋人達と同じように楽しい時間を過ごした。
試合の応援にも行ったが、あれ以来彼の元カノは見ていない。
試合の帰りには中村さんと中村さんの彼と私と彼の4人で食事に行ったりもした。
彼のお姉さんのブティックにも行った。
お姉さんのブティックでは、引っ越しを手伝ってくれた親友へのプレゼントに透かし編みのショールを購入した。
親友は時々うちに泊まりに来たり、私が向こうの家に遊びに行ったりして、彼女とも楽しい時間を過ごした。
近所のスーパーに買い物に行ったり商店街を案内してくれたり、しっかり者の彼女のおかげで私はこの街にだんだん慣れてきて、地に足をつけて生活をしている感覚が出てきた。
そしてあるとき、ついに次の職場候補となる店を見つけた。
風俗の求人募集のキャッチフレーズには“脱がない・舐めない・触らせない”という、俗に“3ナイ”と呼ばれる有名なものがあるが、その店の場合は更に“触らない”がプラスされていた。
ただ、求人募集の広告を見ただけでは、それが本当か嘘かはわからない。
その店に限らず、風俗の求人募集は本当のことと嘘が入り交じっているので、電話で質問して面接で確認してみないとわからないし、もっと言えば実際に働いてみないとわからない場合もある。
“脱がない・舐めない・触らせない・触らない”なんて、つまりお互いの体に触れ合いもしないし抜かなくていいということなので怪しさ満点だ。
でも、この店はオナクラだったのでそれもありえるかもしれないと思った。
私はとにかく電話してみた。
電話に出た男性は、言葉遣いが丁寧で感じの良い人だった。こちらの質問に対しても言葉を濁さずしっかりと答えてくれて、その内容は納得がいくものだったので、面接の予約を入れて電話を切った。
-105へ続く-
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