私はサンダルを脱いで裸足で歩き、砂の感触を楽しんだ。
それから波打ち際まで歩き、波と遊んだ。
波が来るところに立っていると、波が引いたときに足の周りの砂も一緒に持って行かれて足下が頼りなくなる。その感覚が大好きだ。
ワンピースの裾を持ち上げて波をバシャバシャ蹴って遊び、それからペタペタと歩いて車のところに戻ると、彼は毛布とブルーシートを片付けているところだった。
「ユウくん、足が砂だらけ。」「おう。」彼は溶けた氷水が入った袋とタオルを持ってきて私の足元にしゃがんだ。
「肩につかまって。」私が彼の肩につかまって片方の足を浮かせると、彼は私の足に水を掛けて砂を落とし、タオルで拭いた。
きれいになった足はサンダルを履き、もう片方の足も同じように砂を落として拭いてもらった。
「ありがとう。」「はるかちゃんと今まで付き合った人達に同情するよ。」「なんでよ。こんなことしてもらったことないわよ。」私が車に乗ると、彼は笑いながら運転席の方に回って行った。
「また来ようね。」彼は返事をしなかった。
「どうかした?」「ううん、なんでもないよ。来てよかった?」「うん!どうもありがとう。」「そっか。じゃあ連れて来た甲斐があったな。」私は彼の様子がちょっと変だなと感じたが、気のせいかとも思ってあまり気にしないようにした。
そして私達は海を後にした。
-115へ続く-
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クライマックスになればよいのですが…たぶん私の恋愛は小さな山あり谷ありの極平凡なものですよ(^ ^;)