その後。
私と彼は世間一般の恋人たちと変わらない付き合い方をしていたと思う。
毎日メールや電話をし合い、休日はデートして、お互いの家に泊まったり、連休は旅行に行ったり。
付き合って最初の1年間は楽しいことしかなかった、と言っても過言ではないかもしれない。
付き合い始めはゴタゴタしたものの、以来ケンカの類いはまったくなく、泣いたり怒ったりするような出来事もなかった。
仕事で疲れても落ち込んだりしても、“私にはユウがいる“という事実だけで幸せな気持ちになれた。
オナクラの仕事はヘルスと比べると格段に楽だったが、自分が風俗嬢であるという事実も自覚も以前と変わりなく、人に言えない恥ずかしい仕事をしている後ろめたさと惨めさはヘルス同様オフの日でも常にあった。
それでも私の精神状態が安定していたせいか、ストレスを彼にぶつけるようなことはなく、仕事に関する負の感情はすべて自分の中で消化した。
彼は、仕事も趣味も友達との付き合いも私のことも、何に対しても労力を惜しまない。私にはとても真似できないが、彼はフットワーク良くいろいろなことをサクサクとこなしているように見えた。
それは彼のスタイルのようで、どんなに忙しくてもいつも生き生きとしていた。
彼と付き合って1年ちょっと経った頃、私は初めて彼の実家に行った。
「今日は姉貴も来てるって言うから丁度いいと思うんだけど。」「うん。お姉さんがいる方がいい。」お姉さんのブティックにはあれ以来何度も顔を出しているし、お姉さんの家族(旦那さんと二人の子ども)と彼と私とでバーベキューや鍋パーティーもした。
初めて会ったとき以上にお姉さんは私に優しくて、普段から妹のようにとても可愛がってくれていた。
初めて御両親とお会いするのはやっぱりめちゃめちゃ緊張するので、お姉さんがいた方が少し気が楽かな、と思った。
「お父さんってどんな人?」「堅物。今日はいないよ。」「お母さんは?」「姉貴に厳しくて俺には甘いな。元気で面白い人だよ。」-117へ続く-
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