彼の実家は都内の閑静な住宅街にある。
周りにはいかにも成金風ゴージャスな家もチラホラあったが、彼の実家はわりと年数も経った普通の家という感じだ。
二階建ての一軒家。
彼のお父様とお母様が二人で暮らしているこの家は、外観も家の中も華やかな雰囲気ではなかったが、ダイニングテーブルやリビングのソファなどは明らかに作りが良く高級なものだと思った。
中の上だか上の下だか、どの程度のお金持ちなのかはわからないが、何不自由なく生活している感じは伝わって来た。
十分に覚悟はしていたが、貧乏丸出しの私の実家とは大違いである。
彼のお母様は歳のわりには華やかで綺麗な人だ。
お姉さんは間違いなくお母様似だが、彼はあまり似ていないのでお父様似なのかもしれない。
お母様は背筋をピッと伸ばして「はるかさんがいらっしゃるって言うからお洒落しちゃったわ」なんて言って笑い、明るくて可愛い性格の人だと思った。
「この子がお世話かけてすみませんね。」「私の方こそお世話になっています。」「わがままで頑固だから周りは大変よねぇ(笑)」二人が出会った場所や私の仕事に関しては、事前に彼と打ち合わせておいた答えを言った。
彼のお母様(とお姉さん)に堂々と嘘をつくのは辛かったが、その後はお母様とお姉さんと彼と私とで和やかな雰囲気で話すことができた。
お母様は某お笑い芸人の大ファンだそうで、ときどきお気に入りのギャグをかましながらお茶目に話す。
固い話はせずに楽しい雑談が続き、私はお母様に歓迎されている感じがしてとても嬉しかった。
1時間ぐらい経った頃、彼がトイレで席を外した。
その直後、お母様の態度が豹変した。
-118へ続く-
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頑張って更新しますのでもう少々お待ち下さい~。