「でもよくよく考えれば、お母さんはただ質問しただけだからね。」「それは違う。悪意に満ちてるよ。」「でもね、もし私が大卒で、お父さんが生きてて人に誇れる仕事をしていたら堂々と答えられていたことだから。そしたら何も問題なかったのよね。」「はるかちゃん…」彼は鋭い目つきをしたまましばらく黙り込んだ。
「ねえ、お母さんのことはもういいよ。それよりユウくんのこと。」「俺のこと?何?」「中学も高校も○○って。なんで今まで隠してたの?」「いやいや、べつにあえて言うことじゃないでしょ。俺達の間でそういう話題になったことないしさ。」私は、彼が私に気を遣って学歴を隠していた気がして、むしろそのことの方がショックだった。
私には所謂セレブなお嬢様の友達もいる。東大出身を自慢する知人もいる。
でもそんなことは今まで何とも思わなかった。
それなのに今日、私は生まれて初めて自分の学歴と家柄を心の底から恥じた。
「一流大卒でもひるまないけど中学から御三家はまた別格よ。自覚ないの?」「ふーん、そういうこと気にする人だとは思わなかったね。」「いや、だってさぁ、想像以上にエリート過ぎてルートがもう…」
「何?たかが学歴で俺を見る目が変わっちゃった?」「だってね、突然お母さんに『息子とあなたは別格、うちとあなたの家も別格』って引導を渡されたのよ。ユウくんに先に聞かされてれば…」「くだらねーよ。お袋のことは謝るけどさ、いちいち感化されんなって。」彼の苛立ちはわかる。
こんなことをいつまでも話しているなんて確かに下らないし、私自身どんどん惨めになる。
私はずっと前から彼の頭の良さにも育ちの良さにも気付いていた。そこそこ裕福な家庭で育ったことも高学歴であろうことも予想していた。
彼はいろんな意味で私とは対極にある人。
そんなことは付き合う前からわかっていたことだった。
わかっているのに、私は改めて突きつけられた“格差”に落ち込み消化しきれないでいた。
-122へ続く-
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私の場合は風俗やってたときはもてまくり(当然)
今は新たな男性との出会いはないのでもててません(これもまた当然)
石川様は優しいですね♪
私は相手のために身を引くなんて無理だし、まずは自分の幸せ第一です(笑)
教えて下さった映画は、もちろん存じておりますが観たことはありません。
私は泣き虫なので自分からあえて泣きにいくような感動的な映画は苦手なんですよ~。でも、今後機会があれば一度観てみようと思いました。
どうもありがとうございます(^ ^)