3度目の来店はその2~3週間後か1ヶ月後か、よく覚えていない。
出勤して予約のスケジュールを聞くと、その中に彼の苗字もあった。
『あ、今度はちゃんと予約入れたのね、よしよし』
彼はその日のラストの客だった。
疲れていた私には、彼の爽やかな笑顔がうっとうしい。
『もう3度目なのに差し入れのひとつも持って来ないなんてありえない。チップをくれるわけでもないし使えない野郎だな』と思った。
「先週の日曜は××と試合だったんだよ」シャワーのとき彼は私の体を洗いながら、前回同様にまた某スポーツの話を楽しそうにしていた。おまけに、
「はるかちゃん、よかったら今度試合見においでよ」なんて、実にさりげなく爽やかに言いやがった。
「日曜日は仕事だし、私、ひとりでスポーツ観戦ってなんか寂しいから苦手なんですよ。でも離れてても心の中で応援しますから、また今度会ったときに試合の話、聞かせて下さいね。」と、私はいかにも薄っぺらい商売女な返事をした。
ベッドでのプレイは前回同様だ。
どうやら"自分がリードして女が受け身になる"というのが彼の好ましいプレイスタイルのようだった。
お客様も色々なので、たとえば急に挿入しようとしたり、噛み付いたり、叩いたり、髪の毛にツバを垂らしたり、首を絞めたりなど、私にとって危険なことはいっぱいある。
そういうことを未然に防ぐためにも、私の方は心と体を開いている演技をしながらも、様々な危険を想定しながら"常に防御"ということが念頭にある。
でも、彼のプレイには乱暴や大雑把や姑息な部分がなく、常に私の体に気を配っているように思えたので、彼に対する嫌悪感はあっても不安はあまりない。
ただ、とても優しく扱ってくれるぶん、逆にいやらしい感じはした。
彼には特別な性癖や何かのフェチとか、そういうのも無さそうだなと思った。
風俗店に来店するお客様の中には、特別な性癖や何かのフェチとかはなくても、風俗を遊びとして割り切って満喫するタイプの方もたくさんいらっしゃるわけで。
彼女や奥さんに言えないこと聞けないこと出来ないことを試したりするケースや、一般社会ではセクハラ的に捉えられる言動をするお客様も多い。
「パイズリやってみて」
「"お○んこ"って言って」
「得意技は何?」
「アナルでやったことある?」
「はるかちゃんって家でオナニーするの?」
「彼氏とセックスしてる?」
「俺のチン○って他の人と比べてどう?」
彼の場合はこういう会話やエッチ系の要望もない。
-5へ続く-
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